2012年9月1日土曜日

栃木のまちづくりに係る皆さんにお伝えしたいこと


 こんばんは。ご存知の方も多いかと思いますが、私はマチラボという個人事務所的な会社をやってます。設立して3年ほど経ちます。私の中でのマチラボの位置づけは、栃木県内をフィールドにしたまちづくり企画・プロデュース会社。硬直しきってしまい新しい挑戦が生まれなくなっている栃木のまちづくりの現場に、次代の地域を担う20、30代の若者らが自らの手でまち変えていく機会創出を打ち込んでいくことが役目と思っています。

 また、僕はマチラボ以外に、全国各地のまちづくり会社同士のアライアンス組織、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス(AIA)でもやっております。AIAでは、「事業を通してまちを変える」ということに対して強いこだわりを持り取り組んでいます。最近では「Area Innovation Review」という有料メールマガジンを通じて、まちを変える事業の開発に必要となるフレームワークの提示や国内でも先頭をゆくまち会社のケース紹介等を行いまずは本気でまちを変えたい人に向け、武器となる情報の提供を始めています。それに合わせ、Webを大きく改変した際に、AIAがどのような姿勢でまちづくりに望んでいるのか、お伝えしたいそれぞれの対象に合わせて記事を書く機会がありました。マチラボとしても同じ心意気なので、以下に引用記載させてもらいます。(※一部編集を加えてます)

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【その1 行政の方に向けて】

 ご承知の通り我が国は高度経済成長期のような「成長」を前提としたモデルから、人口が減少し、産業も「縮退」していくことを前提とした社会への適応が急務となっています。国でも地方でもこれまで築きあげた制度モデルが大きく瓦解を始めており、急ピッチで制度設計をし直さねばならないのが現状ではないでしょうか。

 まちづくりにおいても状況は同様です。これまでは市街地での大規模再開発、商店街へのハード整備支援などともすると補助金を付けることが仕事とされてきました。我々はそのような従来の在り方を真っ向から否定し、縮退社会に応じた新しいまちづくりに挑もうという行政マンの方々と共にありたいと思います。

 地域の再生には、従来のような補助金制度ではなく、機能不全となった従来の制度を、規制緩和や特区創設、法律や条例等の制度改正、税制政策等によって変革していくことが必要と考えています。そういった挑戦に果敢に挑む行政マンをサポートしていくプログラムを今後ご用意していきますので、共に地域変革を実現していこうではありませんか。

  
【その2 不動産オーナーの方に向け

 高度経済成長期の不動産需要に供給が追いつかない時代は既に終わりました。少子高齢化時代に突入し、不動産需要の減少と供給の増加が起こることで、不動産の需給バランスが逆転していることが顕著になってきています。また、かつて不動産価値の高かった中心市街地は郊外エリアとの競争、さらには交通網の整備による県境も超えた商業集積間競争に直面しています。

 そのため、この2つの大きな環境の変化に応じた新しい不動産利活用策が、空き店舗だらけとなった市街地の再生に求められています。具体的に、一つは、個別の不動産オーナーが経営方法を転換していく必要があります。そして、もう一つは、郊外や県境を超えた商業集積間競争に打ち勝っていくには、エリアとしての差異化、価値創造を市街地に再構築していくことが必要であると考えています。

 しかし、オーナーが新しい不動産経営モデルを実践しようといった際に、一人だけで事業を組み立るのは困難かと思います。なぜならば、現在の不動産の常識を打ち破るような新しい発想が必要とされるからです。コストを抑えも空間としての価値を上げるリノベーションのノウハウであったり、新しい借り手を見つけるための手法であったり、これまで接点のなかったような専門家の力を借りることが必要となります。この点については、これまでの仲介業者に依頼をしてみても打開策はなかなか出てこないご経験をお持ちではないでしょうか。

 そこで新しい不動産利活用ビジネスで実績を有する専門家たちとのネットワークを活かして最適なチーム編成をし、ご提案もさせていただいています。地元不動産オーナーに向けに、新しい不動産経営手法に関するセミナーを開催しました。

 今、各地の市街地では空き店舗が課題とされています。しかし、アライアンスエリアの実例から、たった一人でも新しい不動産利活用に挑戦するオーナーが現れることで、街に対して大きな変化をもたらすことができると確信しています。これまでの不動産経営を打ち破り、新しいモデルを開発していこうという意欲あるオーナーの方は、ぜひ一度ご相談ください。


その3 大学・研究者の方に向け】

 まちづくりの現場において、大学や研究者の存在は大変貴重な存在となります。現場は常にマンパワー不足の状態であり、まちづくりの実践者たちは一人で何役もこなす必要があります。そのような激務の中、現場のマネージャーらはともすると経験則だけに頼りがちになります。本当は、専門的知見から数値や分析に基づき論理的なアプローチが必要だと分かっているけれども、なかなかできないというのが実態です。まちづくりの現場が大学や研究者に期待するのは、こういった論理的判断にかかわる部分をサポートしてくれるような提案であったりします。

 しかしながら、課題として感じていることもあります。実際にこれまで多くの大学生、大学院生をインターンとして受け入れてきました。その経験から痛感したのが、大学や研究者側のまちづくりの現場情報・経験の不足でした。

 そこで、AIAでは各地のまちづくり会社との密なネットワークを活かし、実際の現場で起きている最新情報や各地のケースを経営的視点から深く分析していく有料メールマガジンの配信やまちづくり事業の分析をしたレポート販売を開始しております。まちづくりの現場に携わる上で押さえておくべき有名なケース情報や現場を見る上で必要な分析フレームの提示など、情報面から大学や研究者の皆さま向けのサポートを試みています。一例としまして、北九州市立大学の片岡ゼミにおきましてメールマガジン「Area Innovation Review」を今秋からのゼミのテキストとして導入いただきました。応援特典としまして、ネット上で我々AIAとディスカッションを交わしたり、ゼミの開始時と終了時に講師を派遣することも予定しております。このように生の現場情報や経験を一人でも多くの大学・研究者の方へと浸透させることで、AIAは現場とアカデミックを繋げる良き橋渡し役を担って参りたいと考えています。


【その4 まちづくり(まちづくり会社/NPO関係者の方に向けて

 各地にまちづくり会社(旧TMO)、まちづくりNPOが設立されているものの、その大多数が補助金や助成金に頼りきった状態となってきました。「まちづくり」という分野は、これまで行政がやることが当たり前。民間での事業化なんて到底無理。だから補助金や助成金でやることが常識とされてきました。ところが今我が国は大きな転換点にあります。国が事業仕分けを行い無駄な補助事業をカットしているように、財政的余裕はもはやありません。これ以上、未来の子どもたちへの漬けとなる国債に頼ったまちづくりなど本当は誰も望んでいないでしょう。

 それでは一体どうすればいいのか?AIAでは、まち会社とは、「まちをお客様として、人々がまちに集まる理由を創る会社」だと、考えています。ひとつのサービスで、まちを構成する様々な人々を同時に満たすことは不可能かもしれません。でも、不動産を持つ人へのサービス、そこで仕事をする人へのサービス、そこに住む人へのサービス、など、それぞれのニーズに対応できる個別のサービスは提供できます。そのサービスの結果、不動産価値が上がり新しい不動産所有者が、仕事がしやすくなって新しい事業者が、住みやすくなって居住者が、観光客が、長期滞在者が、などなど、具体的な結果を産み出していく。この結果を産み出していく会社が、「まち会社」だと、わたしたちは、考えています。

「まち」の特徴によって、観光に重心のあるまち会社、住民に重心のある「まち会社」、飲食店に重心のある「まち会社」など、「まち会社」にも様々なタイプの「まち会社」があり得るでしょうし、また、そうあるべきだと考えています。これは各エリアの状況において、経営戦略としてとるべき道が異なるからです。しかしながら、全てに共通しているのは、自立的に事業や経営を通じて、まちのバリューアップを図っていくことです。

 様々なタイプの「まち会社」においても、共通して必要なことがあると、わたしたちは考えています。それは、「結果を出し、続けること」です。続けるためには体制や人員も重要です。そして、明確な収益が必要です。収益を得るには投資も必要でしょう、投資を行うには、それが回収できるビジネスシステムを構築しなければなりません。

 わたしたちは継続性を生み出すための収益、さらに個別事業ではなく仕組み作りに重点をおいて、「まち会社」と共に、成長していきたいと考えています。
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